2013年第Ⅱ期号 ▽ 熟語暗記の落とし穴 ▲

2013年 第Ⅱ期号

 

熟語暗記の落とし穴

胡子俊英

 まずは次の問いに答えてみて下さい。六月の大学受験駿台全国模試の問題です。

1、His new car is a high-tech monster, (     ).

ア、and so forth  イ、or so  ウ、so to speak  エ、what is called

「彼の新車は(   )ハイテクの怪物だ」という「ハイテクモンスター」といったいかにも造語のような単語にかかる言葉でしょうから、空欄には「いわば」が入るとまずは気づいて下さい。すると、「いわゆる」とか「いわば」といった熟語として、誰もが覚えている選択肢ウ、so to speakとエ、what is calledが目に入ります。しかし、ここで、その使い方まで覚えていないと、確率二分の一のギャンブルになってしまいます。

◎He is, so to speak, our King. 「彼はいわば私たちの王だ」

◎He is what is called our King. 「彼はいわゆる私たちの王だ」

ここまで見ても同じだと思う人は、「 , 」の重要さを軽視し過ぎです。意味もなく「 , 」は付いていないのです。

”so to speak”は挿入句として使われているので、設問と同じ次の形が成り立ちます。

◎He is our King, so to speak.

ところが、what is called ~ は、「~と呼ばれているところのもの」ですから、必ず後ろの~の部分に補語に相当するものが入ります。そこで、

×He is our King, what is called. という文は成り立ちません。だから、ここではウのso to speakを選ばなければならないのです。

熟語は例文で使い方から覚えておくこと。これが鉄則です。ちなみに、”as it were” は”so to speak” と同じ使い方のできる表現です。

次も同様の例です。

2、My father and I don’t get along; he doesn’t approve of my lifestyle and, (     ), I don’t approve of his.

ア、let alone  イ、needless to say  ウ、not to mention  エ、to say nothing of

「私の父と私はうまくいっていない。父は私の生き方を認めないし、(   )私も父の生き方を認めない」approveって何だったっけ、とか言っている人は置いといて、この後です。

選択肢が全部、「言うまでもなく」の意味になっていますが、それぞれの使用例を思い出してみるのです。

・I can’t speak English, let alone French.    「仏語は言うまでもなく英語も話せない」

Needless to say, I can speak not only English but also French.

「言うまでもなく、私は英語だけでなく仏語も話せる」

・I can speak French, not to mention English. 「英語は言うまでもなく仏語も話せる」

・I can speak French, to say nothing of English. 「英語は言うまでもなく仏語も話せる」

これで、イのneedless to sayだけが、後ろの文全体を修飾しているのに対して、他は直後にくっついている語句「~は言うまでもなく」となるので、正解はイとなります。

熟語の暗記には、必ず例文で使い方まで覚えることを心がけましょう。意味だけ丸暗記していても、役に立たないことがあるのです。