2013年第Ⅱ期号 ▽▲ 統計学でしょ! ▲▽

2013年 第Ⅱ期号

 

▽▲ 統計学でしょ! ▲▽

熊倉幹男

 レッドブルという飲み物をご存知と思います。1987年オーストリアで誕生し、1997年からはアメリカを始め世界的に市場シェアを伸ばし、2008年には世界で40億缶を販売するまでに至りました。どれだけおいしいかと私もコンビニに行って買ってみたことがあります。まず驚いたのはそのデザイン、地味です。値段275円、高すぎます。そしてその味、好みはあるでしょうが私にはオロナミンCの方がおいしく感じます、安いし…。

(なのに)なぜこれだけの大ヒット商品となったか。創業者マテシッツ氏は「売り上げの30~40%をマーケティング費用に充てている」と言っていました。正確なデータはありませんが、2008年にはマーケティングに10億ドル使用していたということですから、現在では年間約30~40億ドル(なんと4000億円)と推測することができます。

マーケティングとは市場調査・分析から価格設定、広告、販売、流通までのすべての販売戦略を言います。その出発点である市場調査・分析は特に重要なもので、その際に必要になるのが統計学です。統計学によるデータの分析結果によっては、今までの常識やロジックを覆し新たな戦法、戦略を展開することができ、他の企業との差別化を図ることができます。「売上を上げる最大のツールはやっぱ統計学だった」、「統計学は最強の学問である」という本が最近出ましたが、いま統計学がいろいろな分野から注目されています。

話しは変わりまして、指導要領の改訂で新課程が中学では昨年度より、高校では今年度より全面実施されました。内容につきましては今まで塾報で一部説明してきましたが、今回は統計学の扱いについて説明いたします。中1から高2で統計学について次の内容を学習します。

中1

中2

中3

数Ⅰ(高1)

数B(高2)

資料の活用

確率

標本調査

データ分析

確率統計と統計的推測

中1ではヒストグラムや度数分布表から代表値である平均値、中央値、最頻値を求め集団の特徴や傾向を調べます。中2で学習する確率は数学的確率と統計的確率があり、サイコロを振ったとき1の目が出る確率は「6分の1」というのが前者で、600回振ったら1の目が97回だったので1の目が出る(統計的)確率は「600分の97」というのが後者です。テレビの視聴率を調べる手法が中3で学習する標本調査です。すべての家庭で何を見たかを調査するのは不可能ですからね。数Ⅰのデータ分析では平均、分散、標準偏差を扱います。皆さんおなじみの偏差値はここで出てくる数値を使いますが、偏差値という用語は統計学に存在しません、残念ですが。この範囲で四分位数とか箱ひげ図がでてきますが、今まで中学・高校では扱ったことのない専門的な内容で、関係者の統計学を取り入れようとする強い熱意を感じます。数B(高2の学習内容)では正規分布、二項分布、ボアソン分布などいろいろなグラフを扱い様々な集団の特徴、傾向を詳しく分析していきます。

今回の改訂で確率統計に関する分野が多く取り入れられましたが、高校入試、大学入試では大きく取り扱われないと思われます。基本が分かればそれまでですし、応用問題をつくるとしたらかなり専門的なものになってしまうことと、入試の数Bでは「確率統計」、「ベクトル」、「数列」を含めた3単元の中から2単元の選択となるため、「確率統計」をはずす大学が大部分であるためです。ただし、出てくる用語と公式だけは覚えておいた方が良いでしょう。都立高校の入試では代表値を聞く問題が出題されそうな予感がしますし。

「数学って何か役に立つの?」という生徒には「統計学が無ければこんな値段でゲーム機は、アニメの本は、お菓子は、携帯は買えないし、高価で手に入らないかもしれない。そもそも,存在しない物もあるかも…。」と話せば少しは納得いただけるでしょうか。皆さんが社会に出てから統計学が必要になってくる場面は十分にあると思います。統計学のスキルが無いと仕事の幅が狭められることもあるかもしれません。その時になって勉強する統計学の内容は中学・高校で習ったものよりはるかに高度で複雑になりますが、基本が分かっていれば自分で勉強することもできますし、さらに高いスキルを身につけることもできます。ですから、入学試験での出題率は低いですが統計の勉強もしっかりしておきましょう。