2009年第Ⅱ期号 ▲▽ 親子で読書 『正しく知る地球温暖化』赤祖父俊一・誠文堂新光社2008.7.7 ▽▲

2009年 第Ⅱ期号

 

▲▽ 親子で読書 『正しく知る地球温暖化』赤祖父俊一・誠文堂新光社2008.7.7 ▽▲

三輪裕治

 

1975年の2月21日、静岡に3cmの雪が積もりました。雪国の方々には信じられないかもしれませんが、静岡地方気象台の観測統計資料によれば、これは今でも史上第二位の記録です。その日、中学一日体験授業のために往復3.2kmの通学路を歩かされていた小6の私は、「未確認飛行物体!」と叫びながら固めた雪をぶつけあっている無邪気な同級生たちを尻目に、「地球はいよいよ氷河期に突入する」という一部科学者の警告の重みをひしひしと噛み締めていました。平成生まれの塾生たちには信じられないかも知れませんが、大きな氷河がニューヨークの摩天楼をなぎ倒すイラストが描かれたように、1962年から75年あたりまで地球の気温はかなり低めでした。

前年の1974年はユリ・ゲラーが初来日し、スプーン曲げが大ブームになりました。3月『驚異の超能力!!世紀の念力男ユリ・ゲラーが奇蹟を起す!』4月『特集!驚異の超能力ユリ・ゲラーのすべて』。ところが、半年もたたずに手品師であった過去と曲げ方のネタバレ。でも、日テレ矢追純一ディレクターはそんなことでは全くめげず、同年10月「宇宙人は地球に来ている」75年2月「空飛ぶ円盤をキャッチ!雪男が見つかった!四次元世界の謎を探る」と不死鳥のごとく次々とヒット連発。1975年の2月というのは、そんな時代でした。

それから34年の時が流れ、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」とアル・ゴア元アメリカ副大統領は、「現在進行している地球温暖化の大部分mostは高い確率をもってvery likely炭酸ガスの温室効果による」と高らかに宣言してノーベル平和賞を受賞し、矢追純一氏はあのようなUFO番組を企画した理由を問われ、自分は本当はUFOには懐疑的だったと前置きした上で「日本人にもっと空を眺めて欲しかったから」とすがすがしい笑顔で答えています。

『走れメロス』のメロスならひたすら無二の親友を信じ、暴君ディオニスならひたすら全ての人間を疑えばよいのである意味シンプルですが、そうともいかない我々は単純なビリーバーにも意固地な懐疑主義者にもならず、他人から騙されたり時々は真実を見破ったりしながら、何とかその場その場で頭を使って生きていくしかありません。

今日ここで紹介するのは「温暖化」に関して今最も評判がよい本の一冊です。本書の結論は「現代進行中の温暖化の約六分の五は地球の自然変動であり、人類活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるものは約六分の一程度である可能性が高い」「現在進行している温暖化は『小氷河期』という比較的寒かった期間(1400~1800年)から地球が回復中のためであり、自然変動である可能性が高い」というものです。筆者はアラスカ大学国際北極圏研究センターの所長をしていた赤祖父俊一氏です。アル・ゴア氏とIPCCの主張とは真っ向からぶつかる内容ですが、本書の執筆動機は純学問的なものに思えます。

私を含め、エコの重要性について異議を唱える人はいないと思いますが、地球温暖化の原因が本当にC02であるのか、CO2を削減すること以上に重要な環境問題はないのか、ということについては、もう少し冷静な議論の積み重ねが必要なのでは?というのが、この読書のすすめコーナーで伝えたいことです。それは1974年から75年を小学生として生き抜いた自分の責任のように思えるからです。

念のために、「地球寒冷化説」も紹介しておきます。気候変動の最も大きな原因は「宇宙線の照射量が支配する雲量」であると主張する『「地球温暖化論」に騙されるな!』(東京工業大学大学院教授丸山茂徳:講談社2008.5)。なぜかこの本にはその詳しいメカニズムについてはほとんど書かれていませんが……。丸山氏は2007年からすでに寒冷化が始まっていて、2035年くらいまではそれが続くと予想しています。

ちなみに私はスプーン曲げを今でも練習していますが、超能力者たちのようにはなかなかうまく行きません。