2007年第Ⅱ期号 大学入試の小論文に不安がある人へ

2007年 第Ⅱ期号

 

▲▽ 大学入試の小論文に不安がある人へ ▽▲

 

①まずは志望校への対策優先

書き出す前に「小論文ってどう書いていいかわからない」と悩んでしまう人が多いようですが、最初に完璧な小論文の書き方をマスターし、その次にいよいよ書き始めるという順番をイメージするのは、受験に限定して言えばロマンチックすぎる誤解・幻想です。まずは志望校の過去問にチャレンジしてみること。これが一番大切なスタートです。

なぜなら、各大学・各学部によって出題傾向やそこで求められている能力に違いがありすぎて、その全てに対応しようとするのは明らかに「時間のロス」だからです。

例えば慶應大学の小論文ですが、法・経済・商・文学部などを比較してみると、明らかに小論文らしい出題と言えるのは文学部だけで、法学部や経済学部の問題はある程度の要約能力と社会的常識があればそれほど恐れるようなものではありません。商学部の出題は小論というよりも数学的思考力のテストです。また、早稲田大学のスポーツ科学部の小論文では、合否を分けるのは論文作成のテクニックよりも、そもそもスポーツに関する深い知識や熱い思いがあるかどうかであるのに対し、人間科学部ではデータの読み取り・意味解釈のような統計処理能力が必要となります。さらに、成城大学のAO入試や法政大学の文学部のように、最初から本を指定しておいてそれについて問うという形式のものもあり、ここでの勝負の分かれ目はあらかじめ真面目にちゃんと準備してくる姿勢があるかないかということになります。

どんなタイプの小論文に対しても完璧な文章を書けるようになろうと思ったら、少なくとも10年くらいは大学や大学院で一流かつ最先端の知識を幅広く吸収し、さらにアカデミック・ライティングのトレーニングなどを受けるのが必要だと思います。そして、それは明らかにどんな受験生にとっても不可能なことです。となれば、完璧な小論文というロマンチックな幻想をひとまず捨て、まずは自分の志望校の出題にだけ対応しようというリアリズムから受験勉強をスタートさせるべきです。小論文ほど過去問をやることで、今自分に何が必要で何が必要でないかが実感できる科目はありません。

②書き方(テクニック)より書く内容(ネタ)

教える側から言うと、小論文指導で一番時間がかかるのは、トピックセンテンスや譲歩構文などに代表される書き方(テクニック)ではなく、自分なりの対策案や具体例など、つまり書く内容(ネタ)を生み出す力を身につけさせることです。その点から言うと、受験参考書で勉強したいと思っている人は、表面のテクニックよりも自分の小論文に使い回しが出来そうな内容が充実したものを買うのがよいということになります。

で、ここからは館山塾生以外の目に触れて情報が漏れてしまうと困るのですが、いくつか具体的な本を紹介しておきます。早慶レベルをめざすのであれば、よく売れている樋口裕一よりも吉岡友治(『なるほど小論文』桐原書店・『社会科学系小論文のトレーニング』Z会)を選んだ方が、人文・社会科学全般に対して前提となる知識や理論が吸収できるので、(自信満々で解説している割には時々ちょっとあぶなっかしい論理展開があるのが気になりますが)お勧めです。

さらに、法学部受験の人には禁断の裏技として「大学院」受験のための参考書を使うという非常識な方法を紹介しておきます。浅羽通明『教養としてのロースクール小論文』(早稲田経営出版)。これを読み通したら、愚行権やパターナリズムなどをめぐって通常の受験生とはワンランクちがうレベルで論文が作成できるようになります。ただ、誤字・脱字が多い本なのでその点は注意。

そして、早稲田のスポ科を受験するなら、表の必読文献が『教養としてのスポーツ科学』(早稲田大学スポーツ科学部)であることは言うまでもありませんが、裏の必読文献と言えるのが友添秀則『スポーツ倫理を問う』・近藤良享『スポーツ倫理の探求』(大修館書店)。両書はやばいくらい内容が早稲田の入試問題とかぶっています。

もちろん、小論文の内容を充実させるための素材を手に入れるのは、書物だけではありません。自分が信頼できる大人(両親や先生)の意見に耳を傾け、時事問題をめぐって自分の知らなかった知識や自分と異なる意見を吸収し、出来ればディスカッションしてみるという姿勢が有効です。テレビや新聞やインターネットもそのためには有効なツールとなります。ただ、私のようにいちいちテレビ画面のニュース解説者やコメンテイターに向かって「おまえバカか!二度としゃべるな」と突っ込んでいると、人格を疑われますが。

③ここからはCM

で、それでも不安のある人は、私が小論文の書き方から志望校対策まで個別に指導する「小論文対策講座」というオプション講座があります。実施時間などは受講者の都合に合わせて柔軟に決めていくので、平常講義とも両立しやすいかと思います。詳しく知りたい方はぜひ直接ご相談下さい。    (三輪)